沖縄は琉球とよばれていた時代から、中国や東南アジア、朝鮮、日本を行き来していたため、食生活の面でもさまざまな影響を受けてきました。特に影響が強かったのが中国で豚肉中心の料理が発達しました。
沖縄に伝わる料理は「琉球料理」とよばれ、首里城の中で食べられていた「宮廷料理」と、一般の人が食べていた「庶民料理」に分けられます。
生活の中から自然に生み出された庶民の料理は生活の知恵を生かしたもので、無駄をはぶき、値段や栄養がバランス良く整えられたものだといえます。
現在でも食べ物のことを方言で「くすいむん」や、「ぬちぐすい」と言います。意味は「薬」あるいは「命の薬」で、薬になるほどの効果がある、心の中が暖かくなって元気になる、などの意味があります。
その中でも亜熱帯気候の沖縄野菜はミネラルが多く、ビタミンたっぷりで沖縄の食に欠かせないものです。
沖縄の野菜の特徴
沖縄の野菜の特徴としてあげられるのは
- 耐暑性が高い
- 雨風に強い
- ミネラルが豊富
- 抗酸化物質がたくさん含まれている
などがあげられます。
沖縄は年間で見ると平均気温23℃、平均降水量60ミリ以上という亜熱帯気候帯に属するという条件や、晩夏からは激しい台風に見舞われるため、耐暑性が高く、雨風に強い野菜ができたといえます。
また、沖縄の土壌は海底から海面上に高くもり上がったサンゴ礁(隆起サンゴ)からできた土壌で、海のミネラル分が多くなっています。このミネラル分の多さは沖縄の野菜にも影響していて本土の野菜と比べてミネラルが豊富に含まれているのです。
さらに抗酸化物質が多く含まれているため、活性酸素というガンや動脈硬化、老化、免疫機能の低下を引き起こす酵素を抑制・取り除く効果があるのです。
沖縄では伝統的な農産物などは「島野菜」(シマヤサイ)とよばれており、島にんじん、島らっきょう、島だいこんなど親しみをこめて「島〜」とつけられています。「島」という言葉は沖縄の方言で、「沖縄の」という意味があります。
沖縄を元気野菜でいっぱいにするグリーンアイランドプロジェクト
そんな沖縄の野菜を、「土と野菜」では久茂地都市開発㈱協力のもと、デパート(パレットくもじ)の屋上を活用して、無農薬野菜の栽培(屋上菜園)を行っています。
沖縄はぬちぐすい(命薬)と呼ばれるパワーフードが豊富にありますが、一方で食料自給率はわずか6%で、大半を県外からの食料に頼っています。
そこで「土と野菜」が考えたのがグリーンアイランドプロジェクトです。
グリーンアイランドプロジェクトでは、野菜作りや食を通じて環境意識を高める仕組みの構築と、野菜を通じた地域コミュニティの拡大を目指しています。
屋上菜園のような場所を増やし、各地域でコミュニティを作って活動の輪を広げ、野菜づくりをとおして環境に優しい街づくりの実現を目指しています。
現在は試験的に屋上で収穫したトマトや茄子、ハンダマといった野菜を、デパート内にある『料理とお酒のお店毬(まり)』さんに納品し、お客様へ提供しているそうです。
採れたての新鮮な無農薬野菜をお客様へ提供できる事は、お店にとってもお客様にとってもいい事だなぁと感じました。
実際に屋上菜園の野菜を見学したのですが、一つ一つの野菜が生き生きとしていました。何より野菜の色がとても鮮やかで、葉もしっかりずっしりしていたことに驚きました。
今後は、この菜園をこども食堂や地域交流の場所として地域活性化などにも使用していきたいと計画されているそうです。
さらにグリーンアイランドプロジェクトは野菜づくりだけに留まらず、
野菜を作る→食べる→生ゴミ→回収→コンポスト(生ゴミを堆肥化する)→野菜を作る という循環こそが大事だと考えています。
野菜づくりにおいて、最も重要な部分といっても過言ではないのが土づくりです。グリーンアイランドプロジェクトでは、土作りと生ゴミコンポストを実践する吉田俊道先生(NPO法人大地といのちの会理事長)の監修のもと、地元の農家さん達と一緒に有機農法を広める活動も行っています。
さらに耕作放棄地などを使った農法が今脚光を浴びており、沖縄県の耕作放棄地 3,816 ha(2017年度)の活用においても、吉田俊道先生の有機農法がマッチしています。
沖縄には、健康⻑寿の柱となる豊富な島野菜や薬草がたくさんあり、中医学や医食同源の教えに倣い、実践してきた食文化があります。
沖縄全体を島野菜や薬草でいっぱいにし、「みんなで健康になる!!」「環境に優しいしい街づくり」の実現を目指す「グリーンアイランド プロジェクト」に要注目です。